全国新酒鑑評会について(2013年5月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

 この度、平成24年度「全国新酒鑑評会」において、金賞を受賞いたしました。 ご指導いただきました諸先生、業界関係者の皆さま、そして、日夜努力を続けてくれた社員の皆さんに深くお礼申し上げます。

 明治44年(1911)に出品数27点で始まったこの全国新酒鑑評会も今年で101回を迎えましたが、今年の出品数は864点となっています。そのうち金賞酒は233点ですから大変厳しい関門であるといえます。ところで、金賞の授与は昭和31年から行われるようになりましたが、当時約4000社あった酒蔵は平成24年には約1600社に減少しています。いかにこの半世紀、酒造業界が厳しい環境にあったが分かります。

 弊社では、昭和42年岡山に新工場を建設し、新しく備中杜氏中浜昭夫を迎え、この鑑評会に参加するようになり、昭和44年度から3年連続で金賞を受賞しています。通算してこれまで16回の受賞(岡山県においては最高の回数)になりますが、最近は社員杜氏による受賞であり、杜氏から社員による酒造りの技術の継承がうまくいっている結果ではないかと喜んでいます。

 平成元年に級別制度が廃止になり、特定名称酒が設定され、その後徐々に地酒と吟醸酒ブームが巻き起こってきたように思いますが、その評価の基準として全国新酒鑑評会の果たした役割は大きなものがあったと考えます。一方で、全国の清酒が均質化し、個性的な酒が無くなるという批判もありますが、他方で、一つ目標に向かって研さん、努力することも製造技術の向上につながるのではないかと考えられます。

 毎年入学試験を受けているようで、結果発表の時には大変緊張しますが、この会が続く限り挑戦を続け、製造技術と品質の向上に努力を傾注してまいりたいと決意しています。

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