商人道とは何か(2009年12月号)
宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜
青野豊作氏の著書「新・商人学教科書」により、商人道について考えてみたい。
(1) 商売は私事でなく、公事である。
・商売とは、規模の拡大とより多くの利益の取得を目指すものでなく、社会において自分が果たすべき使命と役割を知り、その上でお客様第一義の立場に立って汗を流し、知恵を絞ることである。
(2) 商売はロマン、夢の追求である。
・商売の意義は、金を儲けることにあるのではなく、自分の夢を追求し、さらにその夢を実現することにある。ロマンを実現するには、熱い思いのほかに、冷徹な数字をもって策定された事業計画と、その計画を着実に実行していく強い意志が不可欠である。
(3) 商売は企業文化である。
・企業文化が、他社にない、消費者を魅了する価値ある商品を生み出すのである。他方、消費者もその企業文化に魅力を感じているからこそ、そのブランド品を買い求める。ブランド品メーカーと消費者は、”ブランド商品“という目に見えるモノを通じて目に見えない企業文化を共有し、さらに、共感と共鳴の大きな輪をつくっているのである。
(4) 商売は戦いであり、覇道である。
・「商人は不断の心がけうすき時は、他よりその商ひを奪ふ。これ軍の利。多年心に懈怠(けたい)なく、商ひの道よく勤め、眷属を養ひ、内を治め、そのうえ家業怠らざれば家栄ゆるなり」(高利遺言)
・覇道とは、商売もお客様を喜ばせ、満足させるために競い合っており、武士の戦場と同じであるということ。
(5) 商売はイノベーションである。
・「商ひは草の種。人に先んずるが肝要。とにお角にも人の気の付ざる所に眼をつけて、人に先を取られぬやう心をつくすべし。」(商家心得草)
(6) 商売は論理であり、システムである。
・商売は、論理が通っていないと経営は成り立たない。あくまでも論理的に考えていかなくてはいけない。
・カネを追わずに、カネが入るシステムをつくるが大切である。