「凌ぎの時代」(2009年9月号)

宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜

 平成21年9月11日の日本経済新聞において、佐々木毅学習院大学教授は、「21世紀前半の日本社会は、人口減少と高齢化などに備え、その持てる資源と知恵を最大限に活用すべき凌(しの)ぎの時代にある。」と述べている。

 また、堺屋太一氏は、近著の題名を「凄い時代」とつけ、これからの世界は「凄い時代」が続くのであると書いている。

 「凌ぎの時代」と呼ぶか、「凄い時代」と呼ぶかは別にして、二人の問題意識は、21世紀のテーマは20世紀型モデルとは質を異にする21世紀型モデルで取り組む必要があるということである。古い規律と価値基準を持つ20世紀型の人々には「厭な世の中」、新しい発想と勇気を持つ21世紀型の者には「おもしろい時代」になるというのである。

 それでは、このような「凌ぎの時代」または「凄い時代」において変革をうまく捉え、21世紀型の課題を解決する条件はどのようなものであろうか。

 堺屋氏は、五つの条件を挙げている。
第一は、変化を歓び、改革を好む気質である。
第二は、これから大事なのはビジネス・モデルである。
第三は、成長分野を嗅ぎつける感覚と将来を見通す予測能力である。
第四は、自らを信じて撃って出る決断力である。
第五は、少しばかりの好運だろう。

 どこの国よりも早く少子高齢化社会を迎える日本にとって、21世紀型の課題を解決して行くことは、大変困難な問題ではあるが、称賛に値することである。

 そして、そのことは、我が社においても同じことがいえる。「凌ぎの時代」や「凄い時代」を乗り越えて、新しいビジネス・モデルを確立することができれば、誠に名誉なことである。

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