「プロフィット・ゾーン」の発見(2004年8月号)
宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜
前回は「量から質への転換」というテーマでの講演メモを掲載させていただきました。 量から質への変換の意味するところは、量(売上高や市場シェア)の追求から質(利益や顧客)を中心に置いたマーケッテング戦略への転換が必要であるというという主旨でした。 そのことは、「プロフィット・ゾーン(PROFIT ZONE)」の発見を意味することなので今回は、ビジネス書「プロフィット・ゾーン経営戦略」(エイドリアン・J・スライウォツキー デイビッド・J・モリソン共著 ダイヤモンド社)に書かれていることを紹介しながら考えてみたいと思います。
- 市場シェアとは、製品を中心とした時代における古い目標値であり、「より大きな市場シェアを確保すれば、利益は後からついてくる」というスローガンは誤りである。また、量的成長を求める経営は非プロフィット・ゾーンを生み出す要因である。
- 顧客と利益を中心に考える新しい世界観へ移行しなくてはならない。顧客は立ち止まらず、変化しているので、高収益をもたらす経済活動の領域であるプロフィット・ゾーンも変化し動き続けることになる。
- プロフィット・ゾーンの変化に合わせて、ビジネス・デザインは再構築(リインべント)されなければならない。再構築されたビジネス・デザインも再び陳腐化を免れない。リインベンションには終わりがない。プロフィット・ゾーンも動き続ける。
- ビジネス・デザインの革新は、大きな非連続的活動を必要とする。そうした動きには、必然的に大きな失敗を伴うことになる。経営者は昨日のビジネス・デザインを完璧にしようと試みている。古い尺度、古い企業文化に拘っているあいだに、競争は移動しているのである。
- 新しいプロフィット・ゾーンへ企業を導くこと(リインベント)、新しい市場価値を創造することが経営者にとって最も重要な役割となっているのである。