「荒走り」の誕生(2002年11月)
宮下酒造株式会社 企画研究部
当社の平成14年度の清酒製造は今までで一番早い9月30日から始まりました。 これは今年度から蔵人(季節労働者)にかわって当社社員による酒造りをスタートさせたためでした。 つまり、一週間に前年度は3.5本仕込みを行っていたのが、今年度は2本仕込むだけにかわり、短期間でたくさん仕込むのではなくて長期間で仕込むことにより労働負担を軽くしようと試みたからです。 ですから、9月30日という早い時期からスタートし、6月の初旬まで酒造りをする予定になっています。
このような中で、当社の杜氏中浜昭夫の指導のもと、若い社員たちが朝早くから一生懸命酒造りに取り組みました。 酒造りをするのが初めてという社員もいて不慣れな点もありましたが、社員が一致団結して酒造りを行ってきました。
そして、この11月4日に今年最初の新酒しぼりたて「荒走り」吟醸原酒が誕生しました。 原料はお米を60%まで精白し、酵母も厳選された上質のものを用い、温度管理も低温でじっくり発酵させました(写真1参照)。 こうしてできたしぼりたてのお酒(写真2参照)を杜氏や社員とともに口に含むと、ふわっと華やかな吟醸香が広がり、旨み甘みともにバランスがとれており、すっきりとしたきれいなお酒に仕上がっていることがわかりました。
杜氏や社員たちも万弁の笑みを浮かべ、今までいろいろな困難を乗り越え、朝早くから一生懸命頑張ってきた甲斐があったなぁというような表情をしていました。 このとき、「これなら自身をもって、お客様に飲んでいただける」と確信いたしました。 「荒走り」吟醸原酒、新酒ならではのしぼりたてのフレッシュさをぜひ多くの方にご賞味いただければと思います。
若い社員たちはいいお酒を造るために日々努力し、研究を続けています。 次々と新しいいいお酒ができるよう宮下酒造は頑張っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。