「武蔵鍔」について(2002年11月号)
宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜
2003年度のNHKの大河ドラマに「宮本武蔵」が決まり、岡山県ではこの機会を利用して、観光に力を入れようとしています。 そこで、当社といたしましても「武蔵鍔」(むさしつば)という銘柄の清酒を11月より新発売いたしました。
武蔵は「五輪書」において、私の生れは播磨(兵庫県)の生れであると書いています。 しかし、これには異論があり、武蔵は美作国吉野郡宮本村(岡山県英田郡大原町宮本)の平田武仁(ひらたむに)の子であるというもので、こちらの方が一般的に流布されています。
宮本武蔵は13歳にして有馬喜兵衛と試合をして以来、60余度の試合をしましたが、全勝をおさめた最強の剣豪です。特に29歳の時の巌流島での佐々木小次郎との試合は有名です。
その武蔵の愛刀は和泉守藤原兼重の作で刃長は2尺7寸ですが、鍔は武蔵が自ら彫刻や鋳金(ちゅうきん)を巧みにこなし製作したものが残っています。これを「武蔵鍔」と称しています。
「左右海鼠(なまこ)透かし鍔」は、素銅に槌目(つちめ)を打っただけの素朴なものですが、質実の美をしのばせます。 「唐草模様鍔」は、肥後で生産された真鍮(しんちゅう)を素材に唐草模様の彫りをほどこした逸品です。 「一芸は万能に通ず」の言葉どおりに、武蔵は画技のみならず、鍔などの武具の製作にも才能を発揮しています。
この「武蔵鍔」を酒の名前に使わしていただき、清酒「武蔵鍔」は生まれました。