日本酒の歴史の概観(2008年7月号)
宮下酒造株式会社
社長 宮下附一竜
- 世界の酒―>麦芽文化圏(ビール)、メソポタミア、エジプト
中国の酒―>モチ麹(粉)、紹興酒(クモノスカビ)
日本の酒 ―>バラ麹(粒)、日本酒(麹菌) - 稲作農耕文化の渡来―>日本酒の起源は中国江南地域から稲作耕作文化の渡来
縄文人(南方モンゴロイド)―>陸稲(熱帯ジャポニカ)、紀元前5世紀
弥生人(北方モンゴロイド)―>水稲(温帯ジャポニカ)、紀元前3世紀 - 口かみ酒から芽米酒、そして麹酒
口かみ酒(一夜酒)神酒として祭祀に使用
芽米酒(醴・レイ)は米や小麦を発芽させたもの(蘖・ゲツ)を糖化剤として使う。紀元3,4世紀頃、渡来人(活日、須須許理)が伝える。
麹酒とは、紀元9世紀までに、蘖(ゲツ)の意味が米バラ麹に変わった酒 - 朝廷の酒―>律令時代の酒(令集解、延喜式)、宮中造酒司(バラ麹)
- 武者の酒―>鎌倉時代、1252年「沽酒之禁」(酒の売買の禁止)
- 町衆の酒―>室町時代、京都の柳酒、14世紀中世的酒造業の成立、酒屋に課税
- 僧坊酒―>天野酒(河内天野山金剛寺)、菩提泉(大和菩提山正暦寺)
- 「御酒之日記」、「多聞院日記」(中世の酒造りの醸造技術の口伝)
- 南都諸白より伊丹諸白へ―>南都諸白は室町末期から近世初頭の銘酒
江戸時代になると伊丹諸白へ - 伊丹諸白から灘の寒酒へ―>水車精米、酒造道具の大型化、樽廻船
- 明治政府の酒造政策