吉備の豊酒(きびのとよざけ)について(2001年10月号)
宮下酒造株式会社
社長 宮下 附一竜
今月は万葉集に出てくる「吉備の酒」についてお話したいと思います。
古代吉備国は今の岡山県(備前、美作、備中)と広島県の一部(備後)をあわせた広い地域に形成された勢力で、大和政権に匹敵する力があったと言われています。 稲作の発達していた吉備国の豊酒はそのころより有名であったと思われます。 その証しに、万葉集(巻四 五五四)に丹生女王(にふのおおきみ)が九州の大宰府の長官大伴旅人(おおとものたびと)に贈った次の歌があります。