商人道とは何か(2009年12月号) 宮下酒造株式会社 社長 宮下附一竜 青野豊作氏の著書「新・商人学教科書」により、商人道について考えてみたい。 “商人道とは何か(2009年12月号)” の詳細は »
「岡山県産酒の再生戦略」を終えて(2007年8月号) 宮下酒造株式会社 社長 宮下附一竜 はじめに 「岡山県産酒の再生戦略」は、平成13年7月より第一次、第二次と6年間にわたり展開してまいりましたが、平成19年6月をもって終了いたしました。この間の主な事業を振り返るとともに簡単ではありますが報告書とさせていただきます。ご協力いただきました皆様に厚くお礼申し上げます。 現況について 製造場数の推移 平成12年81場 ―――>平成19年6月59場 -25% 製造数量 平成12年度8,939kl―――>平成17年度5,202kl -42% 課税移出数量 平成12年度8,076kl―――>平成17年度5,247kl -35% 県産酒割合 平成12年度30,9%―――>平成17年度27,6% -11% 再生戦略の目指したもの 商品開発事業 ブランド力の強化事業 雄町米純米酒による県産酒のブランド力の強化 新商品開発事業 リキュール等の商品開発 マーケティング事業 岡山県新酒鑑評会の実施 岡山県との提携の強化 米まつり岡山に参加 全農岡山県本部との提携強化 「うまさ発見!まるごと岡山の酒」等イベントの開催 地酒ファン層の開拓 日本酒で乾杯推進会議岡山大会の開催 日本酒での乾杯運動の推進 地酒応援グループのネットワーク化 海外市場開拓の調査研究 ラジオ番組「時のひと・おかやまの酒」の提供 人材育成事業 技術情報の提供や講習 夏期酒造大学、酒造講話会、きき酒研修会 流通チャネル対応研究会等の勉強会 組合組織の改編 酒造組合の土地・事務所の売却 岡山県酒造組合の設立(平成18年7月3日) 組合事務所の移転(平成21年9月30日までに) まとめ 日本酒業界のおかれた現状が危機的状況にあるとの認識のもと、何らかの活路を求めていろいろな事業を懸命に展開してきたと思う。しかし、業界への逆風は我々の力ではいかんともしがたく、数字として確たるものを残せなかったことは誠に残念である。今後の組合活動のあり方については、「小さな組合」のもと経費の節減の努める時代が来ているように思われる。この大きな転換点にあたり、組合運営についてみんなで議論し、結論を出していくことが肝要であろう。
顧客価値の創造(2005年10月号) 宮下酒造株式会社 社長 宮下附一竜 清酒業界の現状 需要の大幅減少 1973(昭和48)年度――― 1.754.925kl(9.747千石) 2004(平成16)年度――― 752.969kl(4.174千石) 43% 平成6年度頃より減少率の拡大 特に平成16年度の対前年比は10.5%の減少 焼酎の台頭によるものか 清酒衰退の原因はどこにあるのか ――― 深い反省 市場の変化に鈍感な「ゆでガエル現象」 顧客価値という視点の欠如 <参考1> 成長が止まったとき、企業は衰退する 成長できない五つの理由(「成長し続ける会社」マイケル・トレーシー著) ・ 長年にわたって、顧客が求める価値を無視し、特権に甘えてきた ・ 成長が急停止した市場で、無理な事業拡大をはかった ・ 「独占」という優位性が失われた ・ 顧客の価値観が大きく変化したことを見逃した ・ 次の時代に求められるニーズに応える、新手のライバル企業に不意を突かれた <参考2> 真の顧客中心のビジネス・デザイン(「プロフィット・ゾーン経営戦略」26ページ) 「その結果、多くの業界の顧客が、退屈し、怒り、そして関心を失っている。そうした業界には非常に類似したビジネス・デザインが蔓延しており、同じやり方による競争が展開され、顧客中心というより製品中心の思考となっている。 こうした状況は、起業家や新規参入者にとって大きな機会となる。起業家や新規参入者が、業界の外部者である必要性はない。 あなたの会社であってもよい。重要なのは、顧客の優先事項を理解することだ。」 顧客価値の創造 顧客価値とは、「製品やサービスを提供する機能ではなく、顧客から見てどのような利点、あるいは、どのくらいの価値があるか」ということ 顧客価値の創造とは、企業の消費者に対する驚きの提供によって、価値観の変化をもたらすこと。 価値創造のタイプ 製品再評価による「驚き」のコストは、新製品・サービスの開発や生産のコストは発生しないが、新しい価値観を構築するコストとそれを普及させるコストがかかる。 製品改良による「驚き」のコストは、既存製品・サービスとの差を増分的に新製品・サービスに付与することで発生するコストである。 製品革新による「驚き」のコストは、新製品・サービスの開発とその生産コストからなるが、製品革新による驚きは既存の価値観で評価できない独創性によって引き起こされる。 価値創造とブランド 「驚き」を生み出す能力には、新製品・サービスを生み出す能力と新しい価値観を構築する能力がある。 新しい価値観を構築する能力は、社風や企業文化に起因すると考えられる。したがって、優れた製品開発・生産・マーケティングの能力、革新的な社風・企業文化が「驚き」を生み出す源泉と考えられる。 消費者は企業から「驚き」を連続して与えられることによって顧客価値創造という点で企業を高く評価し、企業は顧客のロヤリティを獲得し、ブランドが形成されていくと考えられる。 ブランドをこのようにとらえると、消費者は企業のブランドに基づいて「驚き」を期待するようになる。企業にとって、ブランドは「驚き」を与える源泉と位置づけられ、ブランドは顧客価値創造に寄与するといえる。 ブランドは、優れた製品開発・生産・マーケティングの能力と革新的な社風・企業文化、そして、それらを維持していく能力である。 「驚き」をキーワードとした顧客価値創造は、企業が製品・サービスを生産・提供すること以上の内容をもつと思われる。こうした価値観の変化を伴うような顧客価値創造は、成熟化した社会においてはその重要性がますます高まっていくと予想される。
「量」から「質」への転換(2004年7月号) 宮下酒造株式会社 社長 宮下附一竜 はじめに 酒類業界の現状 酒類間競争の激化 日本酒需要の縮小 多数乱戦による業界の疲弊 窮地に追い込まれた業界の再生 新しいマーケッテング戦略への転換 量から質の経営へ 量 ⇒ 質 利益 売上・シェア 価値 価格 顧客満足度 競争 社会貢献度 創造 「質」の経営実現に向かう流れ 同質から異質を競う時代 これからは質の“ベター”(より良いもの)を求めるだけでなく、“ディファレント”(異なるもの)をつくることの価値が高まる。 = ブランド力(異質性) 「異質性」は、商品やサービスだけでなく、企業経営のあり方そのものについても求められる。 ブランドの構築で目指すもの 企業がブランドを通じて何を約束するかを明確にし、顧客の期待に応え続けることで顧客との間に長期的に揺るぎない精神的な関係(絆)を構築すること 文脈情報(コンテクスト)の重要性 企業と顧客との間に豊かな文脈情報(コンテクスト)を築くことによってブランド力を高める。
文脈情報の重要性(2003年11月号) 宮下酒造株式会社 社長 宮下附一竜 長期的な不況の中において、低価格訴求によって販売競争に勝とうという競争戦略が浸透していますが、経営資源の乏しい我々中小企業が、大手企業と同じ土俵で体力競争することはあまり得策とは思われません。 “文脈情報の重要性(2003年11月号)” の詳細は »