2013年1月4日金曜日 山陽新聞 岡山産ウイスキー熟成中 宮下酒造が県内初挑戦 既存設備と経験活用 15年に発売計画
岡山県内の酒造業界では初の試みとして、宮下酒造(岡山市中区西川原)がウイスキーの製造に取り組んでいる。日本酒や焼酎、地ビールを手掛けているが「岡山の新たな銘酒を」と新分野に挑戦。2012年夏から段階的に仕込み、熟成させている。15年に”地ウイスキー”として発売する計画だ。
同社によると、国産ウイスキーの大半は、サントリー(大阪市)やニッカウヰスキー(東京)など大手の製品。地方の中小メーカーが造るのは全国的にも珍しいという。
15年の創業100周年記念事業として企画。11年12月にプロジェクトを立ち上げ、12年6月から作業を本格的にスタートさせた。
ウイスキーは、数種類の大麦麦芽(モルト)と温水を混ぜて造る麦汁に酵母を加えて発酵。蒸留器で熱して気化したアルコールを冷却する。これが原酒となり、時間をかけて熟成させる。
麦芽は岡山県産とドイツ産をブレンド。水は旭川の伏流水を自社敷地内の井戸からくみ上げる。麦芽の配合割合や酵母の種類、発酵、蒸留時の温度などを少しずつ変えながら10回に分けて仕込み、原酒約1千リットルを抽出。木の樽に詰めて熟成させている。蒸留したての原酒は無色透明だが、貯蔵中に樽の木の成分が溶け出すことで次第に琥珀色になり、香りやまろやかさが加わるという。
宮下酒造は日本酒やビールのほか、ウイスキーと同じ蒸留酒の焼酎も製造。原料と、麦汁造りまでの工程がビールと共通のため職人の経験が生かせる上、ビール用の仕込み窯、焼酎用蒸留器などの設備も利用できる。
宮下晃一専務は「くせがなく飲みやすいウイスキーが目標。スコッチ、アイリッシュといった世界の名品とは一味違う岡山ならではのウイスキーを生み出したい」と話している。